混雑ゼロでこの景色!? 七合目からの御来光【吉田ルート】

「富士山=ご来光は山頂で見るもの」…本当にそうでしょうか?

はじめて富士登山をする方の中には、

  • 頂上まで登れるか不安…
  • 夜中に山道を歩くのは怖い…
  • でも、せっかくならご来光は見てみたい!

…そんな気持ち、ありませんか?

実は、山小屋に泊まって見るご来光という選択肢があります。
私は2016年、吉田ルートで2回目の富士登山をしたときに、この方法を試してみました。

七合目の山小屋「トモエ館」に泊まり、迎えた朝。外に出ると、そこには人混みのない静かな空間と、ゆっくりと昇ってくる美しい朝日。「山頂じゃなくても、こんなに感動できるんだ」と心から思いました。

頂上にこだわらなくても、富士山の魅力はしっかり味わえます。この記事では、吉田ルートでの1泊2日登山の流れとともに、初心者の方に向けて、山小屋ご来光の魅力と注意点(メリット・デメリット)をわかりやすく紹介していきます。

目次

八合目や九合目で泊まらなかったのはなぜ?

理由はいくつかあります。

理由1 直前の予約でも空いていたから

私たちは会社員なので、基本的に登山できるのは土日だけ。しかも富士山の天気は変わりやすいので、事前に予定を立てるのが難しい…。そんな中でも、「直前でも予約できる七合目の山小屋」はとてもありがたい存在でした。同じように「週末しか登れない」「ギリギリまで天気を見たい」人には、七合目泊は現実的な選択肢だと思います。

理由2 混雑や寝苦しさを避けたかったから

上の山小屋ほど登山客が集中しやすく、夜中の出発や雑魚寝の混雑が発生することも。
特に繁忙期の八合目・九合目は「寝るスペースが狭い」「騒がしくて眠れない」などの話も聞いていました。

七合目なら比較的人も少なく、出発時間も落ち着いていて、初めての富士登山でもしっかり眠れました。

理由3 トモエ館には個室があったから

七合目の「トモエ館」は、個室付きで初心者にも安心して泊まれる山小屋です。
仕切られた空間で荷物の整理や着替えができるので、雑魚寝が不安な方や女性にもおすすめ。

※登山日は2016年です。現在とは状況が異なる場合もあるため、最新情報をご確認ください。

トモエ館
七合目にある「トモエ館」の看板。標高約2,700m地点にあり、初めての宿泊登山にも向いています。

【1日目】五合目出発〜七合目「トモエ館」到着まで

五合目出発

登山当日は17:00ごろ出発し、七合目に着く頃にはあたりが薄暗くなり始めていました。
今思えばかなりギリギリだったので、初めての方はもっと早めの時間に出るのをおすすめします。


2025年現在、14時までにゲートを通過することが推奨されており、山小屋予約がない一般登山者は14時以降は通過できません。

五合目からの富士山
五合目から見上げた富士山

七合目トモエ館に到着

およそ2時間で「七合目トモエ館」に到着。富士登山は初日から全力で登るというより、このくらいの距離で体を慣らしておくという意味でも、ちょうどいい行程でした。2日目の登頂に向けて軽いウォーミングアップのようなかんじです。

七合目からの景色
山小屋からの景色

部屋の中の様子

今回泊まった「トモエ館」は、2人部屋の個室でした。壁にはフックやハンガーがあり、登山後の着替えを干しておくのにちょうどいいです。

さらにありがたかったのが、部屋にコンセントがあること。カメラやモバイルバッテリーも補充できて、翌日に備えるには十分すぎる環境でした。

山小屋の様子
2人用個室の内部。壁は木で仕切られていて、荷物を広げたり、着替えたりもできてかなり快適でした。

夕食のハンバーグカレー

20:30 この日の夕食は、ハンバーグの乗ったカレーライス。富士山の山小屋では、夕食が「カレーライス」なのは定番なんですが、ハンバーグがついているのはちょっと豪華な部類です。

食事が足りない場合は、追加注文もできます。カレーの他に牛丼やスープ、カップ麺など。

ハンバーグカレー
夕飯の、ハンバーグカレー

山小屋に着いてひと息ついた後、夜の21時ごろに外の温度計を見てみたら、なんと10℃。夏とは思えない寒さに驚きました。五合目を出発したときはTシャツでも暑いくらいだったのに、標高が上がると一気に気温が下がるのを実感。

【2日目】山小屋からの御来光

5:00 起床。ご来光タイムがスタート。

ぐっすり眠って迎えた朝。いよいよ、ご来光の時間です。

私たちが泊まったのは、2人部屋の個室。このタイプの部屋には大きな窓がついていて、なんと室内からご来光が見られるという特典つきでした。

朝は寒くて布団から出られなかったけど、窓から空の色が変わっていくのを眺めながら、「まだ外は寒そうだけど、もうすぐ…!」と、ご来光のタイミングを見計らっていました。

部屋の窓からの景色
2人用個室の場合は部屋から景色を見れます

ご来光を“独り占め”したような時間

いよいよ、外で迎えるご来光の瞬間。山小屋のサンダルをお借りして、空が赤く染まりはじめた頃、外へ出ました。

この時間帯は、すでに山頂を目指して出発した人たちが多く、山小屋の周りはとても静か。人混みもなく、自分のペースでご来光を楽しめる最高のひとときでした。

山頂まで行かなくても、ここで朝日を浴びながら「富士山に登った」という達成感は十分感じられます。
「ご来光を見たら下山」という選択肢も、体力に不安がある方にはぴったりの楽しみ方です。

御来光
御来光

寒さを忘れるほどの絶景。山小屋前で迎えるご来光

御来光1
御来光2
御来光3
御来光4

【2日目】七合目から山頂へ。ついに頂上を目指す!

7:30に出発

朝食を頂いた後、準備を済ませ頂上へと出発しました。

見下ろした景色
朝、七合目から見た景色。雲海がどこまでも広がっています
頂上に向かって
目指すのは、あのさらに上…!

登山道はこんな感じ

「富士山って道が舗装されてるんでしょ?」とよく言われますが、 全部じゃありません。

こんな風にゴロゴロした岩が続く箇所もあり、足元に注意が必要です。
きれいに舗装された遊歩道みたいなのを想像してると、ちょっとびっくりするかもしれません。
それでも、しっかり整備されていて迷うことはありません。ペースを落として確実に進めば大丈夫です。

登る時に岩を触れる事もあるので、軍手があると安心です。

登山道
登山道2

途中の山小屋で休憩&焼印ゲット!

登山道の途中にある山小屋では、休憩はもちろん、登山の記念になる「焼印」も押してもらえます(有料)。
杖を買っている人は、ここで「○合目」の焼印をコレクション感覚で集めるのも楽しみのひとつ。

ちなみに、杖は短いタイプも売っており、私は短いタイプを選びましたが、リュックのサイドポケットにすっぽり入って、ちょうどよかったです。

焼き印
短い棒
短いものも売ってます。

ついに頂上へ

13:00ごろ、ついに山頂にに到着しました!

頂上の「久須志神社」でお参りをして、登頂の達成感にひたります。ここで、お守りを買ったり、おみくじもできます。

天気も良く、見下ろす雲海と青空が本当に美しかったです。「やっと着いた…!」という気持ちと、「ここまで来たんだな」という実感がじわじわ。

登頂後のごほうびは、やっぱり山頂の山小屋で食べるラーメン。疲れた体に、やさしくしみわたる味でした。

山頂の神社
山頂の雰囲気
山頂のらーめん

頂上付近の様子

頂上付近は、赤っぽい土や大きな岩がごろごろしていて、まさに火山らしい景色。
つい雲海ばかりに目が行きがちですが、足元の風景もなかなか見応えがあります。

天気は良かったですが、風が強くて体感温度はさらに低くなりました。

雲海
雲の上まで来ました
赤土
つえで岩を「ここ、見て!」と指さしているところです。
岩
頂上付近の様子
岩2
こんなに大きい岩

【2日目】下山

下山道は登りとは別

名残惜しい気持ちを抱きながら、頂上を後にして下山を開始しました。登ってきたときとは別の道で、最初は赤茶色のザラザラした砂地が続きます。徐々に雰囲気が変わっていくのも面白いです。

下山開始
下山開始。ひたすら下りが続きます。

歩きやすいように見えて、実はスピードが出すぎてしまう下山道。コントロールが難しくて、気づくと膝が笑ってる…なんてことも。靴の中に砂が入りやすいので、足首を覆うスパッツやゲイターがあると便利です。

下山道
ザクザクと音を立てながら下ります。
下山道
小走りにならないよう注意。膝へのダメージがじわじわ来ます。

道を間違えないように注意!

途中までは須走ルートと同じ道です。看板をよく見て間違えないようにしましょう。
また、登山アプリをスマホに入れておくと、現在地の把握が簡単で、到着時間も把握しやすいのでおすすめです。

看板
須走ルートと、ここで分かれます。

ついに五合目!ゴール!

夕方、無事に五合目に帰ってきました。
登頂の達成感と、下山の疲労感が混ざり合って「もうしばらく山はいいかな…」と言ってる気がします。

それでも、振り返ると「登ってよかった!」と心から思えるし、また登りたくなる不思議。

まとめ

富士山でのご来光と言えば頂上で見るもの!と思う方も多いと思いますが、今回は山小屋での鑑賞の経験をご紹介しました。

特に吉田ルートはとても混雑しやすいので、山頂でご来光を狙うと人の波に巻き込まれてしまうことも。
混雑をさけてゆっくり見たい方や、夜間に登りたくない方、頂上まで登る自信はないけどご来光を見たい方など、選択肢に加えていただけたら嬉しいです。

最後に、山小屋で見るご来光の「メリット」「デメリット」をお伝えします。どこでご来光を見ても、富士登山はすばらしい経験になると思います。あなたも、自分だけの富士登山を楽しんでみませんか?

メリット

  • 夜中に出発しないので、山小屋でゆっくりできる。
  • 朝まで山小屋で寝れる。
  • 混雑を避けてご来光を見れる。
  • 人が少ないので、ベストポジションで写真を撮ることができる。
  • 山小屋が個室の場合もあり、快適。

デメリット

  • 頂上でご来光を見るという特別感がない。
  • 2日目の行程が長い。
  • 帰りの時間が遅くなる。(頂上で見る場合は午前中のうちに下山できます。)
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